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2016-10-21

ドメーヌ オジル!仕込みが難しいシラーに真剣に向き合った結果生まれた極上のグルーヴワイン♪

Ozil

自然酵母による発酵。
瓶詰め時の亜硫酸無添加。
リスクをとったワイン造り。

今やこうしたワインの紹介が当たり前に溢れるようになり、その言葉が本当に意味するところを実感したり、造り手たちに共感したりするという事が難しくなっていませんでしょうか。

しかしながらあらためて振り返って見ると、上質なブドウを栽培し、それを自然酵母で発酵させ、亜硫酸無添加で瓶詰めするという事は、人間がワインの味わいに関与できる部分が非常に限定的であるという事を思い起こさせてくれます。

ワインの風味を決定する酵母を選ぶでもなく、意図しない微生物たちの働きによってワインが想定外の味わいへと変化していくの保険的に防ぐ訳でもなく、ある意味、自然の営みに委ねるしかないという自然派ワインの造り手たち。

ブドウの生態を見つめ、畑の持続可能性を維持した栽培を施し、そこで生まれたブドウを収穫し、選別し、搾り、自然酵母の働きを見守り、あとは熟成という時の魔法に委ねる。これが彼らのワイン造りであり全てなのです。

そう考えてみると、こうしたワインたちが美味しく飲めるという結果は、実は稀少な「奇跡」なのかもしれないと気づかされます。

さて、そんな奇跡が詰まった1本がまた届いています。

アルデッシュの若き造り手、ドメーヌ オジルよりシラーとグルナッシュをブレンドした「グールヴェル」と名付けられたワインのご紹介です。

先日ご案内した、ドメーヌ オジルのプリムールは、シラーの圧搾した後に残った残渣(マール)に白ブドウであるマルサンヌの果汁を加えてマセラシオンして造っていました。

このワインの説明を聞いた時、その搾ったシラーの果汁はどうしたんだろうという当然の疑問を抱きます。

ご存知の方は少ないかもしれませんが、ドメーヌ オジルのデビュー ヴィンテージとなった2013年には、シラー100%のシラー グルーヴというキュヴェが存在しました。

ところが、2014年ヴィンテージには、シラーのキュヴェはリリースされませんでした。

もちろんシラー100%のワインを仕込んではいたのですが、実はこのワイン、熟成を重ねても還元が強く残り続け瓶詰めすることができなかったのです。

自然派ワインの造り手たちと話をすると、シラーという品種の難しさにこの還元しやすさをあげる人が多くいます。ドメーヌ オジルにおいても、他の品種と同様の仕込みであったにも関わらずシラーだけが還元する状況に見舞われ、ワイン造りをスタートしたばかりの彼らにとっては、ほろ苦い経験となりました。

とは言え、発酵を自然酵母に委ね、後は見守るしかできないに等しい彼らにとって、いったい何を為すことができたでしょうか。

そんな経験を経て迎えた2015年。ここからは推測で、次回彼らと会う機会に確認してみようと思っているのですが、この年には還元のバランスが難しいシラーを少しでも制御するために圧搾の強さやマセラシオンの期間を調整をしたのではと考えています。そして結果として残ったシラーのマールと、ともすれば鈍重になりやすいマルサンヌの果汁を組み合わせる事で、双方の弱点を補うようなワインを造りたかったのではないでしょうか。

それが、先日ご案内したプリムールとなり、一方でシラーの難しい特性を制御しようとした果汁から今回のグールヴェルを手掛けたのだと想像しています。

ということで、シラー70%、グルナッシュ30%という品種構成のグールヴェル!品種構成的には、2014年ヴィンテージにあったグルマンディーズに近いスタイルですが、2013年のシラー グルーヴとグルマンディースをかけあわせたグールヴェルという名前からも、よりシラーの存在感にフォーカスしているキュヴェです。

気になる味わいですが、香りにはシラーらしい鮮やかな紫系果実の芳香と華やかなスミレのニュアンス、僅かに胡椒などのスパイスのニュアンスが感じられ、還元臭はなし。口に含むとなめらかな口当たりにまず驚かされ、ほんのり甘く、濃密な果実味と僅かな揮発酸、余韻のチャーミングさなどのバランスが秀逸なスムーズな飲み心地のワイン。

白ブドウの果汁を用いたプリムールとは違い、(当たり前ですが)赤ワインらしい構成ですが、とにかく気負わず楽しめるシンプルでストレートな美味しさ。

同じアルデッシュの造り手のワインとの比較で言うと、ジェローム ジュレのなめらかさとレザン エ ランジュ(ジル アゾーニ)のような素朴で滋味深い旨味が共存した馴染みのあるバランス。

料理や食材との相性を考えても寒くなるこれからの季節にぴったりの赤ワインだと思います!

もちろん

自然酵母による発酵。
瓶詰め時の亜硫酸無添加。
そして、少ない経験のなかでも工夫をこらし、果敢に挑戦する『リスク』をとったワイン造り!

言うは簡単、聞くも簡単。しかしながら、干渉できる点が限られている中で、結果を受け入れるしか無い造り手にとっては、本当に大きな冒険でありリスクなんだと思います。

まだまだ3年目。これからの成長が大いに期待できるドメーヌ オジルですが、手がけるワインには既に、日常に欠かすことのできないピュアでナチュラルな魅力に溢れています。ぜひお試しくださいませ!

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『2016年10月21日現在の在庫状況』
● グールヴェル NV15
● キュヴェ プリムール NV15

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