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Ozil

Ozil / オジル

「兄弟二人三脚、自然体で向かう無謀な挑戦」

ジェローム ジュレ、ジル アゾーニ、マゼルなど名だたる造り手達が活躍するアルデッシュ地区。もっともアルデッシュと一言で言ってもその範囲は広大で、彼らが活躍するのはアルデッシュの中でも南のエリア。この場所は、ワイン産地としては辺境の辺境。テロワールというヒエラルキーではもっとも裾野に位置するとされた場所で、大手ネゴシアンや協同組合にブドウをkg単位で売るしか選択肢がなかったエリアでした。しかし、選択肢が無いと言うことは、失うものがないという意味でもあり、自らの信念に添って人生を賭けたワイン造りに取り組む生産者が一人、また一人と登場します。その先駆者はレザン エ ランジュのジル アゾーニ氏であり、ドメーヌ マゼルのジェラール ウストリック氏です。そして2006年に自然派ワイン造りをスタートさせたジェローム ジュレの登場によってこの地域は一気に活気を帯び始めました。

当初は、素朴で自然な味わいが魅力のワインを造っていたジェローム ジュレでしたが、その進化のスピードは脅威的で年を追うごとにその香り、味わいにはエレガントさをまとうようになり、ある種の色気を感じさせてくれるまでに成長します。そして今やフランスをはじめ世界中で大人気の造り手となりこの地域を代表する生産者となりました。

このジェローム ジュレの成功は、地域の若手生産者にとってのモデルケースとなります。ドゥ テール、ロ マス ド レスカリダ、シルヴァン ボックともともと協同組合にブドウを売るなどしていた栽培農家の新しい世代の造り手たちが自然派ワイン造りに挑戦し、ジェローム ジュレやジル アゾーニ、ジェラール ウトリックなどがワイン造りの指導や販売先の紹介など地域コミュニティをあげてサポートをしていきます。その結果、アルデッシュ地区は自然派ワインの一大産地となり、ホットスポットとなったのです。

2013年にトマとジャン=ダニエルのオジル兄弟によってはじめられたドメーヌ オジルもこのアルデッシュの潮流の中で生まれた新しい自然派ワインの造り手です。彼の父親は、典型的なこの地域の栽培農家で、ブドウのみを栽培してそれを協同組合に売っていました。しかし近年は、協同組合の倒産や低価格な新世界ワインの台頭によるネゴシアンの販売不振などの影響もあり、栽培農家として生計を維持するのが年々厳しくなっています。そんな中、息子のトマ オジルは、近隣のジェローム ジュレやジル アゾーニの成功を見て、自分たちの代では自然派ワインを造るんだという意志を固めて行きます。トマはまずジェローム ジュレの下でワイン造りを学び、そして独立前にはジル アゾーニの下でも研修を重ねます。特にジル アゾーニの息子であり、現在は引退したジルの後を継いでワイン造りを手がけるアントワンヌ アゾーニとオジル兄弟は、同世代ということもあって親交が深く、切磋琢磨しながら先駆者達の経験と知識をしっかりと吸収して、初ヴィンテージからキラリと光る魅力の備えたワインを生み出しています。

とは言え、協同組合などにブドウを販売するというスタイルは、いまだにこの地域の栽培農家の典型的な仕事の仕方であり、彼らのような自家瓶詰めで、しかも自然派ワインを手がけるのは異端中の異端です。その一端を垣間見たのは彼らのドメーヌを初めて訪ねた時でした。

彼らの醸造所がある村の近くまで辿り着いたものの例によって場所がわからず連絡すると、ミニバイクでさっそうと迎えに来てくれたのはトマ オジル。20代後半か30代になったばかりといった感じの若々しい風貌です。醸造所に着くと彼の父親も迎えてくれました…が、簡単な挨拶の言葉を交わしたものの、その後はじっと私たちを値踏みするように押し黙ったまま見つめるだけ。試飲を始めても、ずっとついてくるにも関わらず会話に参加するわけではありません。唯一の例外はタンクに入ったシラーを試飲した時の事、若干の還元的なニュアンスがあったのですが、「この臭いは何日後かに飲むと気にならなくなるよ」と突然フォロー。もちろん瓶詰め前のワインが還元的なニュアンスがあるのは私たちにとっては意外な事でもなかったのですが、息子を心配するあまりか思わず発した言葉が「還元香へのフォロー」でした。この瞬間に、様々な事がすっと理解できました。

彼らの父親としては、リスクある自家瓶詰めやましてや自然派ワイン造りに挑戦しようなどは荒唐無稽で無謀な話。ビオロジックで栽培し、自然酵母で発酵、厳密な清澄も濾過もしないで、亜硫酸も添加せずに瓶詰めというワイン造りは完全に理解を超越しています。自分の息子たちが近隣の変人にたぶらかされて変なワイン造りを始めてしまったと心配になっても不思議ではありません。そして、醸造所にワインを買い付けに訪問してくるのは怪しげな東洋人達(私たちの事です)。濁ったワインや還元したワインを試飲しながら、「これは良くなりそうだね。これはピュアな味わいがする。」などと話している訳ですから訝しがって当然です。そもそも自家瓶詰めをしなければ、訪問客が来ることもありません。息子たちの無謀(に映る)挑戦によって仕事を取り巻く環境が180度変わった訳です。

対してトマとジャン=ダニエルの兄弟は、とても自然体です。特に気負ったところもなく、当たり前のことを当たり前に積み重ねていくといったスタイル。初年度は自由にして良いと許可を得た2.5haほどの面積でビオロジック栽培に転換、自然酵母による発酵、瓶詰め時の亜硫酸無添加など、さすがはジェローム ジュレとジル アゾーニに鍛えられただけあって「リスクヘッジ」などのない直球の自然派ワインスタイルを貫きます。仕上がったワインは、派手さこそありませんが素朴さとピュアさ、なめらかな口当たりに余韻の美しさと、まさに南アルデッシュの自然派ワインスタイルでした。

2014年の3月にマルセイユで行われた南フランスのスター生産者が集まる試飲会「ラ ルミーズ」で、ジル アゾーニのブースの一画を借りてお披露目された彼らのワインは、来場していたパリのカヴィストやソムリエ達の間でも「あれ飲んだ?凄くイイね。」とすぐに噂にのぼります。実際、初ヴィンテージとなる2013年の各ワインは、まだまだ荒削りなところこそありますが、味わいは非常にピュアで果実味もしなやか。ジル アゾーニのワインやジェローム ジュレのワインにも通じるしなやかな飲み心地があり非常に好感の持てるワインたちでした。彼らのワインから感じる素朴だけれでもやり切っているという印象は、このさらに7年前の2007年に「ディーヴ ブテイユ」という試飲会で、この時と同じくジル アゾーニのブースで出会ったジェローム ジュレの初ヴィンテージを彷彿させるものでした。

まだまだ若く、可能性に満ちたオジル兄弟。彼らのワインが多くの人に認められるに伴って父親も態度を軟化させ、彼らに自由に任せる畑の面積を徐々に増やしていると言います。これからさらに経験を重ねて、畑も広がり、ワインもどんどんと成長・安定してくるはずです。南アルデッシュの新世代のスターの誕生を皆様と一緒に見守って行きたいと思います。

La Rochette /ラ ロシェット

Rochette

産地:フランス コート デュ ローヌ地方
品種:グルナッシュ ブラン 80%、ヴィオニエ 20%

樹齢35年ほどのグルナッシュ ブランとヴィオニエによって造られるペティアン ナチュレル。ドメーヌ オジルでは熟成は通常プラスティックタンク内で行われるが、このワインに用いられたヴィオニエはオーク樽にて6ヶ月の熟成を経てから用いられます。

しっかりとした泡立ちと華やかさのある香りがあり、果実味もしっかりと感じられるコクのある飲み心地。わずかに残糖があるものの甘さはそれほど感じられず、丸みのある旨味となっています。ハーブのニュアンスがトロピカルなフレバーをバランス良く引きしめています。

Sans Rancune /サン ロンキュンヌ

Sans Rancune

産地:フランス コート デュ ローヌ地方
品種:ヴィオニエ 100%

キュヴェの名前は「恨みっこなしで」といった感じのニュアンスでしょうか。比較的樹齢の若い(10年ほど)のヴィオニエ100%で造られるワインは、華やかさのある香りとクリーンで厚みのある果実味があり、ヴィオニエという品種の魅力と自然なアプローチで造られたワインの落ち着いたニュアンスとの調和が心地よいバランスとなっています。

ハーブの爽快なニュアンスや白い花をイメージさせるいきいきとした香りがあり、フルーティーでチャーミングな果実味があります。ボリューム感もありますが、柔らかいタッチの飲み口も魅力で、自然派ワインらしい素朴でストレートな魅力に溢れています。

Primeur / プリムール

Primeur
産地:フランス コート デュ ローヌ地方
品種:マルサンヌ主体、シラー

圧搾したシラーのマール(残渣)にマルサンヌの果汁を加えて3日間マセラシオンし、それを再度圧搾。シラーからはタンニン分と色素、マルサンヌからは果実味とスムーズな飲み心地を得て、華やかさのある風味と全くひっかかりのない口当たり、深い旨味を備えたワインとなりました。ドメーヌにとって2015年ヴィンテージの最初にリリースするワインとなったためキュヴェ名をプリムールとしましたが、エチケットにはプリムールという表記はされていません。

Gourmandise / グルマンディーズ

Gourmandise
※旧ラベル(2014)


※新ラベル(2016)

産地:フランス コート デュ ローヌ地方
品種:グルナッシュ 60%、シラー 40%(-2014) グルナッシュ65%、シラー30%、ヴィオニエ5%(2016)

「食いしん坊」と名付けられたこのキュヴェは、樹齢35年ほどの粘土石灰質の土壌に植わるグルナッシュとシラー(2016年には極少量のヴィオニエ)を用いて、マセラシオン カルボニック(一部セミ マセラシオン カルボニック)で醸造されています。

華やかで濃密な果実の風味は、よく熟したブドウをイメージさせてくれ、それでいてひっかかりのないスムーズな飲み心地をも備えています。複雑な味わいというよりもむしろ素直でカジュアルな味わいで、あまり考えこむことなくスイスイと飲み干せてしまいます。

Bourret / ブーレ

Bourret

産地:フランス コート デュ ローヌ地方
品種:グルナッシュ 100%

樹齢35年ほどの粘土石灰質の土壌に植わるグルナッシュを用いて、セミ マセラシオン カルボニックにて醸造されるキュヴェ。エレガントさ魅力のグルナッシュの魅力を引き出すために優しくプレスをし、過度な抽出を抑えて品の良さや爽やかさを残した造り。

しっかりと熟した果実の風味を備えつつも、口当たりは優しく余韻もしなやかで、とにかくストレスを感じさせない味わい。野生のベリーや野の花を思わせるようなチャーミングな香りとバランスの良い果実の旨味があり、シンプルながらも飲み飽きない奥深さがあります。