パット ルーのトマ ピコがサバイバルのために手がけるVDF シャルドネと目を見張る品質のシャブリ 2015!
先だって、アメリカのテキサス州を襲ったハリケーン ハービー。前代未聞の壊滅的洪水を引き起こし、被害額は240億ドル(2兆6000億円)にものぼる可能性があると報じられています。
この災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々の平穏と災害からの復興を願ってやみません。
この前代未聞の…という天災や異常気象が常態化してきている昨今。地球規模の気候変動は、決して遠い世界の話ではないと痛感します。
こうした自然の脅威に際して、常に無関係でいられないのが自然と対峙して仕事を行う農業に従事する人々です。
折にふれてお話してきていますが、フランスをはじめとするヨーロッパも毎年のように異常気象に見まわれ、雹や霜の被害があったかと思えば、熱波の被害も受けるなど、気候に翻弄される日々が続いています。
ここ数年、特に厳しい状況に見舞われている産地のひとつが、白ワインの銘醸地として名高いシャブリです。
生産効率を優先し、農薬が多用されるこの地にあって、次世代にこの豊かなテロワールを遺そうと奮闘するのが、ドメーヌ パット ルーのトマ ピコです。
2015年、2016年と立て続けに雹や霜の被害を受け、大幅に収量を減らしたパット ルー。そんな困難の中で、サバイバルのため新しい取組みに緒戦しています。
それが、買いブドウによるプロジェクト。
今回新たに入荷してきましたVDF(ヴァン ド フランス) シャルドネがそのニュー プロジェクトです。
トマ ピコ個人名義でリリースされているこのワインは、ラングドックや南ローヌの複数の造り手からビオ栽培されたブドウの提供を受け造られたワインで、プレスされた果汁を発酵が始まる前にトマ ピコの醸造所に輸送し、1から10までトマ ピコの手によってパット ルー同様の哲学で醸造されています。
具体的には、木樽などは使用せず、主としてステンレスタンクでの発酵・熟成を経て収穫の翌年3月に瓶詰め、厳密な清澄や濾過(ろか)も行わず、瓶詰め時に若干量の亜硫酸を添加するのみです。
シャルドネ 90%、シュナン 7%、クレレット 3%の品種構成で、EUおよびフランスのレギュレーションで単一品種を85%以上使用している場合に品種の表示が認められるようで、名称をVDF シャルドネとしました。
先日、入荷してきたワインを早速試飲したのですが、これがなかなか素晴らしいのです。南フランスのブドウですので、彼のシャブリほどの酸は無いのですが、しなやかで繊細な果実味と香ばしさを感じるアロマ、成熟した旨味とかなりハイランクな雰囲気を楽しめる味わいです。
トマ ピコ節とでも言うべきか、彼の優しいながらも凛としたスタイルがしっかりと表現されており、高級感すら感じさせる上質なバランスです。
実はこのワイン、個人的に今世界で最も行ってみたいレストランであるニューヨーク郊外のBlue Hill at Stone Barnsでもオンリストされています。これが意味するところは、自然派ワインというカテゴリにとどまらず、世界のトップレストランでも認められる高い品質を備えたワインであることを示唆しています。
そして、パット ルーの本丸であるシャブリ 2015年も同時に入荷してきております。
大幅に収穫を失ったこの年は、本当に苦難の年となりました。品質こそ過去のヴィンテージと比較しても屈指の出来栄えでありますが、生産本数は限定的となり、2016年も同様の状況となったため値上げは不可避となったようです。
とはいえ、実際に試飲したところでも、2015年のポテンシャルの高さは明らかで、テロワール由来の膨大なミネラル感、びしっと決まった酸、それでいて重層的で厚みのある果実味と旨味などその表現力は一級品!細部にわたるまでしっかりとフォーカスの定まったワインで、アペラシオン シャブリとしては過去最高の出来といえると思います。
残念ながら入荷数自体は大幅に減ってしまったのですが、目を見張る品質となった2015年のシャブリは、ぜひともお試し頂きたいです!
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『2017年9月4日現在の在庫状況』 *記載のあるアイテムは在庫あり
○ VDF シャルドネ NV16 / トマ ピコ
○ シャブリ 2015 / パット ルー
*NV=ノン ヴィンテージの略称、数字は生産年