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2017-02-15

時代の寵児となったアレクサンドル バン!その本質は、あくまでプイィ フュメの地の純粋さを追い求めているだけなのです!

POUILLY FUME を名乗れなくなったアレクサンドル バンのワインたち

自身の手がけるワインから恒久的にプイィ フュメを名乗ることを奪われたアレクサンドル バン。

それでも変わらぬ情熱と純粋なワインへの想いを胸に、「自分はあくまで、この土地の純粋さを追求したワインを造り続けている。」と声高に主張し、不屈の精神でワイン造りにあたっています。

そんな彼の主張は、仏国内のテレビをはじめとするメディアにますます取り上げられるようになっています。

ちょっと長いのですが、下記のリンクからは、フランス2という公共系の放送局が放送したドキュメンタリーをオンラインで見ることができます。

アレクサンドルの美しい畑の映像や、収穫の様子、マドモアゼル MのMこと娘マドレーヌちゃんやピエール プレシューズのピエールくんなども登場し、デンマークのレストラン、ノマのマネージャーが試飲にくる姿や、日本へ出荷するワインの前で日本への想いを熱く語るアレクサンドルの姿など、例え彼らの語る言葉がわからないとしても楽しめる内容となっています。

ただ、このドキュメンタリー。内容的にはかなり過激なもので、栽培においてビオディナミの哲学を取り入れ、主に馬で耕作し、収穫は手摘み、醸造中の亜硫酸の添加もせず、自然酵母で発酵させるアレクサンドル バンの姿と、一般的なプイィ フュメの生産者の姿が、かなりはっきりとしたコントラストで描かれています。

そして、化学物質を忌避して大地の健康を育み、健全なブドウから純粋なテロワールとアペラシオンを表現したアレクサンドル バンのワインが、プイィ フュメを名乗れないという現実をシニカルに描いています。

手摘みのシーンの後に機械収穫のシーンをかぶせたり、馬での耕耘のシーンに巨大なトラクターの姿を重ねたりと、正直、かなり尖った内容のドキュメンタリーでびっくりしてしまったのですが、それでもこの番組内で(実は、前回彼のところに訪れた際にも)アレクサンドルが語った「畝の雑草が、とある高さを超えるとアペラシオンが認められない、なぜなら機械収穫が前提のこの地だと、その雑草の実ごと収穫してしまうから。でも、そもそも僕は手摘みの収穫しかしない。それでも、アペラシオンは認められない。」といった話などを耳にすると、「普通」とされるワイン造りとの差に、絶句してしまいます。

毎度のお話で恐縮なのですが、アレクサンドル バンの唯一と言ってもいい目標は、「純粋なテロワールの表現」であり、そのための馬での耕作や、化学合成農薬を代替する野草などの調合剤の使用、また手摘みの収穫であり、亜硫酸の忌避であり、自然酵母での発酵です。しかしそうした哲学で生まれたワインが、「その土地らしさ」を担保するはずのアペラシオン制度から除外されるという矛盾に対して彼は闘い続けてきました。

彼が、恒久的にアペラシオンを失った際の談話が、彼の想いを端的に表していると思うので、再掲させて頂きたいと思います。

Alexandre Bain

「たいへん残念な想いで一杯ですが、INAOによって、今後手がける私たちのワインからプイィ フュメと名乗る資格を奪われることになりました。ぜひ皆さんに心にとどめておいて頂きたいのですが、私たちは畑では有機栽培を実践し、エコセールやデメテールなどの認証も取得しています。ドメーヌから遠く離れた一部の区画を除いて、馬による耕耘を実践しており、野草やハーブなどの力を借りつつ育ったブドウを、完全に熟したタイミングで手作業で収穫しています。手がけるワインの70%は、自然酵母による発酵からはじまる全ての醸造プロセスを通じて添加物を加えること無く、残り30%に関しても瓶詰め時の10mg/lの酸化防止剤となる亜硫酸以外は何も加えていません。この他にも、ドメーヌでの仕事の多くは自然環境やそのサイクルを尊重し、多くを人の手によって行っています。完璧でない部分はまだまだありますが、こうして生まれる自然なワインは、飲み手にとっても、大地にとっても、そこで働く人々にとっても、そして私たち人類が共有するこの地球にとっても喜びをもたらすものだという信念のもと、私たちはワイン造りを行っています。」

そして現在、彼のこの強い信念は、明らかに世界中の人々の心を打ち、広がっています。番組の最後にアレクサンドル バンがニューヨークに赴き、参加した試飲会のシーンもありました。彼のワインを試飲した人たちの表情をぜひご覧頂きたいのですが、そのワインの本質を何より証明していたと思います。

そして、彼が語った、私たち日本人への想い。とても繊細な感性で自然派ワインを飲み、楽しみ、その負担のない飲み心地や、生きたワインのエネルギーを感じる人達であると親愛の情とともに語ってくれていましたが、事実、権威から自由な感性を持った沢山の方々が、彼のワインを飲み続けてくれなければ、いかに崇高な精神のアレクサンドルであっても持続可能な形でワイン造りは続けてこれなかったと思います。

またまた前置きが長くなってしまいましたが、彼の強い信念と想いのこもったワイン、しばらくおまたせしてしまいましたが、日本に到着していたもののなかで旅の疲れが癒えはじめたキュヴェよりご案内させて頂きたいと思います。

今回のリリースは、VDF ピエール プレシューズ 2014 サンスフルです!

昨年6月に瓶詰め時に亜硫酸を若干使用したVDF ピエール プレシューズ 2014 をご案内させて頂きましたが、今回はサンスフル(瓶詰め時の亜硫酸無添加)バージョン。パイナップルのようなトロピカルな果実の風味と柑橘系のピールのようなフレーバー、アレクサンドル バンらしい完熟したブドウ由来の甘い蜜のような香りに、少し酸化的ながらも奥行きたっぷりの果実味と本人も自信があるという2014年のポテンシャルをひしひし感じる味わいです。

現時点では、極々僅かですが液体にオイルのようなとろみがありますが、香りもマスクされることなく、時間の経過とともにどんどんと表情が豊かになってきます。抜栓後もある程度の経時変化も楽しめるワインですので、グラスワインでの提供も問題ないと思われます。

Aの文字が黒で描かれるピエール プレシューズは、アレクサンドル バンのスタンダードワイン!純粋さの追求を至上命題とするアレクサンドルにとって、サンスフルのキュヴェに対する思い入れは特別なものです。

実は、サンスフルのキュヴェだけだと日本の皆様にご案内する量が十分でないな…と思い添加バージョンも発注していたところ、「なぜ自然派ワインの理解が深い日本向けなのに、亜硫酸添加バージョンも注文するのか?」とアレクサンドルから質問されてしまいました…。彼には、瓶詰め時の亜硫酸添加の有無が、ワインにどういった表情の違いをもたらすのかを皆さんに知ってもらいたいのだと説明しましたが、もちろんそれも私たちの率直な想いです。

ともかく、中生代ジュラ紀後期の地層であるポルトランディアン土壌がおりなす、ピュアなソーヴィニヨン ブラン、ピュアなプイィ フュメの表現をぜひお楽しみ頂きたいと思います。

最後に余談となりますが、このドキュメンタリーの後半に、ロワールワインのスペシャリストとされる(ラ レヴュ ド ヴァン ド フランスなどにも寄稿)ジャン=エマニュエル シモンがブラインド テイスティングでアレクサンドル バンのワインといくつかのプイィ フュメ飲むというシーンがあります。1本ブショネがありましたが、最後に彼が一番に選んだワインとは…というかなり尖ったこの企画、日本でこのような過激な番組を作るのは無理だと思いました。結果はぜひ動画をご覧ください。

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『2017年2月15日現在の在庫状況』
○ VDF ピエール プレシューズ サンスフル 2014 【輸入元完売】

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