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GIN. BELET

GIN. BELET / ジン ベレ

「折々の季節をボトルに閉じ込めたジン」

世界的にクラフトジンがムーブメントになっている現在。その源流となった重要な人物は、Monkey 47でクラフトジンの世界に革命を興したクリストフ ケラーその人です。

クリストフ ケラーは、Monkey 47を離れた後、ドイツ南部のアイゲルティンゲンの地で、ボタニカルブランデーやハーブスピリッツの蒸溜所スティーレミューレの設立に参画します。以来、地元で産する果実や世界中のハーブ、スパイス、フルーツ(これら植物の葉、実、根、木、果皮を総称してボタニカルと呼びます)を用いて、芸術的な蒸留酒を生み出しています。

このスティーレミューレは、ボタニカルを駆使した蒸留酒の最高峰に評される蒸溜所であり、当然ボタニカルブランデーやクラフトジンを語る上での試金石となります。

そして、そのスティーレミューレと比肩する品質のクラフトジンを生み出しているのが、ベルギーはブリュッセルの東、ハッセルトの街に蒸溜所を構えるジン ベレ(ベレ社)です。ジン ベレは、ディスティラーであるクーン ド ジャンスとマネジメントを担うジュール ドベルスの二人三脚で運営される小さな蒸溜所です。

ジンには欠かせないジュニパーベリーをはじめ、地元産のボタニカルを主として人の手によって採集及び収穫された果実、ハーブ、スパイス、野生の花などを用いて造られるジンは、毎ロットごとに使用されるボタニカルが変わり、その時々の季節の風味をボトルに閉じ込めることをコンセプトに蒸留しボトリングされます。

昨今のクラフトジンのムーブメントの中、数多くの蒸溜所が世界中で生まれています。そのような中で、なぜこのジン ベレがスティーレミューレと並んで特別なのか、その理由は、彼らの原料の選択に尽きます。

蒸留酒の品質を決める最も重要なポイントでありながら、過小評価されることも多いのが原酒の質です。原酒を蒸留することでアルコールの純度が高まり、その液体は、より純粋なアルコールに近づいていきます。その過程で風味の多くは削がれ、と同時に容量もどんどんと少なくなっていくため、「原酒にこだわる」と語るディスティラーであってもその原酒に大きなコストを割くことは稀です。

ところが、とある原酒のポテンシャルが、最終的なスピリッツやブランデーの品質に直結することもまた揺るぎない事実なのです。このことを実感させてくれたのが、稀有な体験をフランス ボジョレー地方の造り手、フィリップ ジャンボンのもとで経験しました。

常にハイリスク・ハイリターンなワイン造りに挑戦するフィリップ ジャンボン。彼の手がけるワインでバルタイユというキュヴェがありますが、そのバルタイユの2006年が樽で熟成中であった際に、一般的に醸造上の欠陥とされる様々な問題に襲われ、フィリップ自身もこのワインは、ワインとしては完成しないのではないかと思い至った事がありました。

今となっては、そのブドウに込められたエネルギーは様々なオフフレーバーを克服して、神々しいまでのワインへと進化するということをフィリップ ジャンボン自身も確信しているのですが、当時、自分自身のワインを信じ切れなかった(と後に涙ながらに語ってくれた)フィリップは、2006年のそのワインの瓶詰めを諦め、蒸留業者に引き渡してしまいます。

そして、蒸留され、無色透明の高度数のアルコールとなって(しかも規制の関係で販売用ではなく自家用として)帰って来たこの蒸留酒は、舌を刺し喉を焼くような高い度数と乏しい風味しかない無垢な蒸留酒となるはずが…なぜだかアルコールの強さを感じさせず、深い旨味とまろやかな口当たり、控えめであるもののピュアな風味を備えた蒸留酒となっていました。

このケースでは、原酒となったのが、かのフィリップ ジャンボンのバルタイユですから、そのポテンシャルや秘めた力はいかばかりかという話で、その蒸留酒がエネルギーに満ちているというのは当然だと言えます。

この経験からも蒸留酒における原酒の重要性をあらためて目の当たりにしたのですが、翻ってジン ベレが特別なオーラを備えている秘密にも、一義的には原酒の質の高さがあります。

ジン ベレでは、信頼できる農家から高品質なライ麦、小麦、大麦、そしてスペルト小麦(原種に近い古代品種)を買い付け、基本的にはこれをベースとして原酒となる醸造酒を造ります。原材料は、糖化槽(仕込槽)に入れられじっくりと水蒸気による加温と冷却が繰り返され、穀物の澱粉(でんぷん)を糖化させます。その後にアルコール発酵のプロセスへと移行し、自然と糖分はアルコールへと変化していきます。

こうして造られた原酒をベルギーの昔ながらの銅製のポットスティル(単式蒸留器)に移し一度目の蒸留します。この時点でのアルコール度数は21-23%ほど。続いて複式蒸留器を用いて二度目の蒸留を行いアルコール度数を70%にまでに高めます。

ここで、様々なフレッシュハーブ、野草、野花、果実、スパイスなどと水を加えて浸漬し、これを単式蒸留器で再び蒸留します。このプロセスを3-5回ほど繰り返され、ボタニカルのピュアでクリアなアロマのみを取り出します。

当然、ここで用いられるボタニカルは、風味に大きな影響を与えるため良い素材のみを厳選します。ジンに欠かすことのできないジュニパー(セイヨウネズ)ベリーは、低木の常緑樹で、主に低緯度の寒い地域に自生しています。そのため、上質なクラフト ジンを手がける蒸溜所は、緯度の低い地域か標高が高く寒冷な地域に多く見られます。ジン ベレでは、蒸溜所があるハッセルト周辺で得られるジュニパーベリーを主として用います。その他のボタニカルに関しても、信頼できる農家からの直接取引や自分たち自身で採集したもの、または信頼できる採集者が採集したものを用い、大量に購入できるような加工原料は用いません。こうして、ジン ベレのコンセプトである季節の風味をボトルに閉じ込めた特別な蒸留酒が完成します。

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GIN. BELET NO.7 / ジン ベレ NO.7

GIN. BELET

産地:ベルギー
区分:スピリッツ(40% alc / 500ml)

ロットNO.7は、ライ麦、小麦、大麦、スペルト小麦(原種に近い古代小麦)を主として原酒を造り蒸留し、ボタニカルにジュニパーベリーをはじめ、リンゴ、洋梨、レモン、オレンジピール、タンジェリン(温州みかん系)、チェリー、イチゴ、蜂蜜、ルバーブ、サフラン、ローストしたコーヒー豆、エルダーフラワー(ニワトコ)、アニス、リコリス、コリアンダーの他に野花や野草、松の芽などを加えて浸漬し、再び蒸留して造られます。

味わいに関してですが、まず驚かされるのがそのスムーズな飲み心地です。アルコール度数は40度となっていますが、その強さは全く感じられず、清々しいまでのみずみずしさがあります。この感覚はまさに、フィリップ ジャンボンのバルタイユ 2006を蒸留したものを飲んだ時と同じ感覚です(この感覚こそがジン ベレの原酒のレベルの高さを確信している理由です)。

香りは、針葉樹の森の中にいる感覚、その森のなかに霧が満ちているようなイメージを想起させるクリーンで爽やかなニュアンス。香水のような華美な感じではなく落ち着きと品のを感じさせる繊細なフレーバーです。白い花、野草、レモンをはじめとする柑橘、樹木を感じ清涼感あふれる香りに満ちています。飲み進めていくうちに甘さを感じさせるフレーバーを感じるようになり、余韻にも甘さとわずかながらにほろ苦さを感じます。