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Cyril le Moing / シリル ル モワン

「色褪せない 畑の芸術」

ロワール地方アンジュ地区でワイン造りを行うシリル ル モワンは、もともとパリで絨毯のセールスマンをしていたと言います。しかし、より自然に近いところで生活したいという願いから、自然派ワインの草分け的存在であるフェルム ド サンソニエールのマルク アンジェリを訪ね、彼の下でワイン造りを学びました。その後、このアンジュの地で自らのワイン造りをスタートさせ、荒削りながらもブドウの力に満ちた素晴らしい自然派ワインを造るようになりました。

シリル ル モワンを訪ねるとその繊細な人柄にまず驚かされます。多くのフランス人にありがちな陽気で楽観的なともすれば大雑把な性格とは違い、ひとつひとつの仕事や仕草が非常に丁寧で落ち着きがあり、神経質ともいえるほど綿密な考え方を持っています。「自然に近い生活」を目指してこの地に来たこともあってか、その生活も非常に前近代的です。テレビは天気予報しか見ず、家にある電化製品も必要最低限。食事も刺激の強いものや味わいの強いものを好まず、素材の素朴な旨みを生かしたものを好みます。その人柄はワイン造りにも如何なく発揮されており、素朴で滋味深い風味をもった旨みのあるワインを生み出しています。

シリル ル モワンでは、ビオロジックでの栽培を採用しており、畑には青々とした雑草が茂り、柔らかい健康的な土が広がっています。また所有している畑はどれも樹齢が高く、南向きの斜面という恵まれた環境から凝縮感の高いエキス分の強いブドウが得られます。彼が所有する畑は限定的で、生産量は極僅かです。しかし、この広さが彼にとっては仕事を隅々まで行き渡らせる事のできる最大の広さだと言います。とはいえワイン造りで生計を立てるにはあまりにも小さい面積といえます。その上で彼は、常識を超えたレベルの収量制限を行っており、エキス分に富んだ非常にポテンシャルの高いブドウを栽培しています。

※一例を挙げると、一般的なボジョレーのガメイ種から造られるワインでおよそ50hl/haに対してシリル ル モワンでは20hl/ha。同じ畑の面積であれば、ボジョレーの半分以下のワインしか造れない計算となります。しかしながら、ワイン1本の単価が2倍となるわけではなく、あくまで品質追及のための努力と情熱の結晶といえます。

また収量制限の方法も、リスクの低い夏季のヴァンダンジュ ヴェール(摘房)ではなくより早い時期の芽かきや剪定によって行います。これは、リスクが高い上に経験と丁寧な仕事が要求される非常に難しい作業となります。こういった作業に限らず、畑での作業は全て人の手で行われています。畑を耕す際でさえ、トラクターを使用せず小さな耕耘機を駆使して全ての畑を耕していきます。まさに膨大な労力を費やして、高品質なブドウの栽培に努めているのです。

「ワイン造りの全てはブドウ畑で行われます。目的とすることは収穫量の少ないよく熟したブドウを得ることです。私はトラクターなどを使用せず、菜園を扱うような細やかな心配りを払いながらブドウの世話をしています。」

醸造においては、収穫したブドウを骨董品のような木製圧搾機で圧搾し、自然酵母によって自然と発酵が始まるのを待ちます。醸造中は亜硫酸塩を使用せず、補糖や補酸といった人為的介入も行いません。発酵の進行も自然に委ねておりヴィンテージによっては1年以上も発酵を続けることがあります。

「ワインには一切手を出さずに自然と出来上がるのを待つこと、硫黄をなるべく使用しないこと、フィルターもかけずに手作業で瓶詰めすること。」

彼に尊敬する生産者を尋ねると…

マルク アンジェリ 「この人からブドウの木の手入れを学びました。」
ステファン ベルナウドゥ 「ワインがとても素直で、品質に優れています。」
リシャール ルロワ 「ワインが素直で質が高い上に、ワインのテイスターとしても優れています。」
ロラン エルベル 「彼の赤ワインは他と比べ物にならないほど素晴らしい味わいです。」

といった名前があがりました。

「フランス人はワインそのものでは無く、ワインのラベルを気にしがちです。ですが、日本の方々は、ワインそのものを楽しんでいただけ、フランス人以上に自然派ワインを理解していただいているので、非常に嬉しく思います。私のワインは、ただ飲むだけでなく、食事と一緒に楽しんでいただければより一層美味しく感じられると思います。是非、お楽しみ下さい。」

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