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Bruno Duchene

Bruno Duchene / ブリュノ デュシェン

「灼熱の太陽の下、海を望む急峻な畑から生み出す魔法のようなワイン」

ロワール地方にルーツを持つブリュノ デュシェンが、スペイン国境も程近い、南フランス ルーション地方のバニュルスにやって来たのは2002年のこと。

地中海が目前ながら、内陸に数キロ進んだだけで一気に300mほどの標高となる急峻な丘の斜面。そこにテラスのように広がるブドウ畑から、途方もなくエレガントな風味と品を備えた快活なワインを生み出しています。

刺すように照りつける灼熱の太陽の下で、機械もろくに入ることのできない畑での作業は、過酷を極めます。また岩盤が隆起してできたこの丘は、表土も極端に薄く、ブドウ樹が岩に根っこを突き刺すようにして生き残るような環境でもあります。当然、理想的な天候に恵まれたとしても収量は限定的なものになります。

この地の伝説的な造り手、ル カゾ デ マイヨールのアラン カステックスは、

「この地域でのワイン造り、畑仕事は途方もなく辛いものになる。これは避けられない事だから、せめて眺めの良い畑で働くことを選んだほうが良い。」

とかつて別の生産者の語ったと言いますが、ブリュノ デュシェンが選んだのも「仕事は過酷、眺望は最高」の畑でした。

彼がこの地でワイン造りを始める際に、「海が見えるし最高なんだ」と語ったと言いますが、確かにこの眺め無くしては、いかに強靭な精神を備えていても、挫折してしまうかもしれません。

この過酷な環境で生き延びた生命力溢れるブドウから、類まれな繊細なワインを生み出すブリュノ デュシェンですが、そのもうひとつの秘密は、彼の人柄にあるように思います。

ここまで過酷な畑仕事をこなす人物ですから、いわゆる常人ではありません。かなり破天荒な性格であり、かなりファンキー。普段の彼と接すると色んな「たが」が外れた人という印象を受けます。

ところが、彼のセラーを訪れた際に、その繊細で緻密なワインの味わいの秘密が、ひと目で理解できました。

当初のセラー(現在は新セラーに引っ越し未訪問)では、コンパクトな環境ながらもビシッと整頓された醸造用の備品や熟成用の樽たち。空調なども完備し、温度管理も完璧。彼が普段、神経が研ぎ澄まされた状態で仕事に打ち込んでいるのが、ひしひしと感じられる環境です。

また、試飲会などで、次にリリースされるワインの予約や数量の打合せをしていた際、こういった場での予約を意図的か無意識かわからないのですが、忘れてしまう造り手は少なくありません。

ところが、一見すると破天荒なブリュノ デュシェンですが、実は顧客別の割当数をしっかり管理しており、多くの来客でごった返すような大きな試飲会場であっても、打合せた内容が後になってずれる事が、ほぼほぼありません。

仕事スイッチがオンの時の驚くほどの集中力と緻密さ。おそらくは普段の破天荒でファンキーなキャラクターは、仕事の時の反動なのではと想像しています。

手作業に頼らざるを得ない急峻な畑でのビオロジックでの栽培、自然酵母による発酵、瓶詰め時の亜硫酸無添加など、純粋な自然派ワイン造りの道を迷いなく進み続けるブリュノ デュシェン。

「ワインは、人と土地と環境が造る」と言ったのは、アラン カステックスですが、土地と環境をほぼ共有したアランのワインと「人」の部分が違うブリュノ デュシェンのワインは、ワイン造りに人が関わる事が、いかに大きのかを感じさせてくれる貴重な例となっています。

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