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La Guinelle

La Guinelle / ラ ギネル

無謀な挑戦とも言われた自然派ヴィネガー造り

乾燥した気候と照りつける太陽が特徴の南フランス ルーション地方。この地で、「本物のヴィネガー造り」を目指し、挑戦した女性がいます。彼女の名前はナタリー エール。今やフランスをはじめ世界中で賞賛されるようになった天然醸造による自然派ワインヴィネガーの造り手です。

本来ワインヴィネガーは、自然界に存在する酢酸菌の作用でワインからヴィネガーへと自然と発酵し、変化していきます。反対の視点に立てば、古来のワイン造りにおいては、ワインをいかにヴィネガーとならないようにするかがワイン生産者たちの永遠のテーマでした。

例えば、ブルゴーニュ地方の都市ディジョンがマスタード(マスタードシードとヴィネガーで造られる)の産地として有名になったのも一大ワイン産地ブルゴーニュで多量のヴィネガーが副産物として生まれていたからだとも言います。

しかし、酸化防止剤となる亜硫酸塩の使用や醸造管理技術が発達した現代においては、ワインが意図せずヴィネガーになってしまうという事態は珍しいものとなりました。そして、ワインヴィネガー生産は、ヴィネガー生産のみを目的とした工業的プロセスにとってかわり、天然醸造と呼べるスタイルのヴィネガー造りは失われてしまいました。

そのような状況のなかで、一人の自然派ワインファンであったナタリーは「伝統的な本物のワインヴィネガーを造りたい」と考え、バニュルスにほど近い場所で、完全天然醸造によるヴィネガー製造の「ラ ギネル」をはじめました。

そんな彼女の挑戦を、当初この地域の自然派ワインの造り手たちは、無謀な挑戦であると止めようとしたと言います。しかし、素晴らしいワインの造り手たちに囲まれた環境の中で、自分自身も価値のあるものを手がけ、世に出したいという彼女の強い意思は、止めることはできませんでした。

伝統的なヴィネガー造りの手法

ラ ギネルは、醸造・製造技術の進歩した現代にあっても昔ながらの手法でヴィネガー造りを続けています。

その昔ながらの手法にまず欠かせないのが醸造中に酸化防止剤となる亜硫酸を一切使用していないワインです。ラ ギネルはバニュルスの地を中心に主に亜硫酸無添加のワインをヴィネガー造りの原酒として買い付け、そのまま古樽に入れて太陽照りつけるバニュルスの気候の中で、自然と酢酸菌が活動してヴィネガーへと発酵していくのを待ちます。

現代の多くのメーカーでは人為的に酢酸菌を添加し、より管理しやすい形で発酵させるのに対して、空気中の酢酸菌の活動に頼ったより自然で古典的な手法といえます。この素朴で香り豊かなヴィネガーは、フランス本国の多くの星付きレストランをはじめ、名だたるレストランのシェフがこぞって使用するようになりました。

「原料となるワインが良いものでなければ、本当に素晴らしいヴィネガーには成りえません。上質なヴィネガーだけが持つ、ワインからもたらされる風味と力強さを見出していただけることと思います。かのルイ パスツールは、ワインのみから作られたヴィネガーだけが、本物のワインヴィネガーの名に値すると語っています。ヴィネガーとは、簡単に言ってしまえば家庭のサラダをおいしくするシンプルな調味料です。しかしこの本当の意味を私が造ったラ ギネルのヴィネガーで皆様に感じていただけるでしょう。」

当主、ナタリー エール女史の言葉です。

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