祖母から受け継ぎ、アメリカで紡ぐワイン造り
イタリアにルーツをもつジョゼフ ペディチーニは、以前サザビーズのワイン担当をされていたそうで「お陰で貴重なワインを飲む機会があったよ」と笑顔で話すとても物静かな気配りの人。ビールの醸造はしていたものの、家族のルーツであるイタリアの文化に回帰したいと願い、彼の家族が代々、自家用に造っていた方法を踏襲したワイン造りを2003年に自身のワイナリーとしてスタートさせました。ビオディナミ栽培の5ヶ所の畑と契約をしています。
ブルックリンとポートランドを半年毎に行ったり来たりしながら、常に開かれた心で、様々な交流を通しながら挑戦を続けるジョゼフ氏のワインは、東海岸、西海岸双方で楽しまれています。
Crawford Beck Vineyard / クロウフォード ベック ヴィンヤード
産地:アメリカ オレゴン州
品種:ピノ ノワール
クロウフォード ベック ヴィンヤードは、1500万年前の溶岩流によって生まれた火山性の土壌を持つ区画で、南南西向きの穏やかな斜面に位置し、ウィラメットバレーから沿岸山脈の間に位置するヴァン ドゥザー コリドールを望むことができます。この渓谷には夏の間中も涼しい風が流れ込み、朝夕の寒暖差も大きく、これによってバランスの良い酸味をもたらします。
この区画で採用されている栽培方法は、LIVEとSALMON SAFEの2団体からサスティナブル認証を取得しています。サスティナブル認証とは、いわゆる有機栽培の場合は、肥料や農薬の使用法や種類など、規定されている栽培管理に準拠しているかのみを問われますが、LIVE等の団体のサスティナブル認証では、栽培管理のみならず、周辺環境の生物多様性の維持や、農場の労働者の健康や安全の保持、周辺住民への配慮や、植物資源や水資源の保護を求められます。農作物のクオリティのみに着目するのではなく、周辺環境や労働環境に至るまで持続可能な手法を採用すべきというより踏み込んだコンセプトと言えます。
グラスに注ぐとブラックベリーやカシスといった黒系果実の芳香が鮮やかに感じられ、さらにカカオを思わせる香ばしさが加わります。果実味も凝縮しており旨味もしっかり感じられますが、明るく快活な酸味もあり全体のバランスを引きしめています。余韻も長く、複雑な風味を備えながらも気難しいような印象は無く、外向的で親しみやすい味わいを楽しませてくれます。もちろん熟成によってもより花開くポテンシャルの高さも内包しています。