ジェローム・ブレッシー氏は、フランスの若い世代の生産者が、いかに苦心し悩みながら素晴らしいワインを造り上げるのかを地でいく典型的な人物です。彼はラストーで育ち、ラストーで素晴らしいワインを造り上げましたが、このアペラシオンでの成功は並大抵の努力では不可能だったといえます。彼の父が協同組合の幹部であった関係で1996年まで元詰めを行っておらず、すべてのブドウを組合に売っていました。ある時ジェローム氏は、自らが信じる方法で素晴らしいワインを造り出そうと元詰めをはじめました。その後、瞬く間に各地で高い評価を受け名実ともにローヌを代表する生産者となりました。

ブルゴーニュのグランクリュの半分以下という低収量、非常に高い樹齢から得られる複雑な味わい、様々な種類の樽の中から自分のワインに合うキャラクタのものを選ぶというこだわり、醸造において、あらゆる手法を試して自らの理想のスタイルを実現しようとする探究心などによって他に類を見ない孤高のラストーを生み出しています。

近年は、新樽での熟成に挑戦するなど新たな試みを行い、自らのスタイルを模索・迷走しておりましたが、現在は古樽での熟成に戻し、凝縮感がありながらも、美しい酸のあるエレガントなワインを生み出しています。

最後にジェローム氏の人柄についてですが、彼は、疑問に思ったことや納得いかないこと、分からないことは徹底して味見し、調べ上げ、結果を引き出します。それは樽の選定であったり、栽培方法であったり、人間関係であったり、接木のやり方であったりと多岐に渡ります。そしてあることを調べた結果、それが自分の考えに合わないと分かったとき、相手が著名なジャーナリストだろうが醸造家だろうがネゴシアンだろうが、それを正直に表明し、自分の考えを曲げません。妥協をせず、わが道を突き進む人というタイプですが、一方で自然に対する目は本当に優しい人でもあります。

Rasteau Villages Rouge 2003

2003年という猛暑に見舞われたヴィンテージにあっても、ラストーの丘陵地の北側に位置する彼の畑は、美しい酸と緻密な構成を持ったワインを生み出します。徹底的な選果および収量制限(平均12hl/ha)によって得られる果実味の凝縮感も強く、まったく隙のない厚みを感じさせます。以前見られたような新樽の強烈なフレーバーは全くなく、どこまでもピュアな熟した黒系果実の風味がグラスに満ちます。かつてのクロ・デ・カイユのような豊満なスタイルとも違った「濃密さはあるが、エレガントな美味しさ」を備えたワインとなっています。  グルナッシュ65% カリニャン15% ムールヴェードル10% シラー7% 他

Rasteau Villages Blanc 2004

グラスいっぱいに広がるフローラルな香りにアカシア、トロピカルフルーツの濃密なフレーバー。果実味は豊かで厚い旨みはありますが、決して鈍重にならない繊細さがあります。アルコール度数14%ですが、灼けたアルコール感やボリューム感はなく、むしろクリアな味わいといえます。余韻も長く、品のある高級感のある味わいでジェローム渾身の白ワインといえます。生産量も少なく1300本のみ、日本には60本のみの入荷です。 グルナッシュ・ブラン45% ブールブーラン45% ディヴェール10%