「フランス最上のカベルネ・フラン」

ロワールのアンジュ・ソミュール地区の東部、ブルグイユやシノンといった産地に隣接するソミュール・シャンピニーに居を構えるクロ・ルジャールは、340年(創業1664年)もの長きにわたってこの地でワイン造りをしてきた歴史ある生産者です。現在クロ・ルジャールの8代目としてワイナリーを切り盛りするのが、シャルリー、ナディのフコー兄弟です。

ロワール地方でクロ・ルジャールといえば、名実共にナンバーワンの生産者として知られ、常に愛好家や専門家の訪問が耐えません。フランス国内においては、クロ・ルジャールを賞賛する言葉は枚挙に暇がなく、フランスの権威あるワイン評価本「ル・クラスマン」においては、「ロワール赤ワイン最高の造り手」として評価され、「アルページュ」「アラン・デュカス」「ギィ・サヴォア」「トゥール・ダルジャン」「リュカ・カルトン」「タイユヴァン」といったミシュラン・ガイドの3ツ星、2ツ星を誇るレストランには、欠かさずオンリストされています。また、他のワイン生産者からも多くの尊敬を集めており、カベルネ・フランという品種を極限まで高品質に仕上げる生産者として知られています。かのボルドー右岸のトップシャトーであるシュヴァル・ブランの関係者も、カベルネ・フランにおけるクロ・ルジャールの神髄を見極めようと訪問すると言うから驚きです。

「恵まれたテロワールと低い収穫量」

クロ・ルジャールは、およそ10haの畑を所有しており、その多くは南向きの日照に優れた丘陵地に広がります。この広さは、「丹念に作業をする限界の広さ」だと言い、除草剤・化学肥料といったものを一切用いない自然な農法によって栽培されています。もっとも、昨今の自然派ワイン生産者と比較すると、その根本にある哲学の違いを感じることができます。ビオロジック・ビオディナミという手法を用い、エコセールの認証を得ている一方で、決して流行に踊らされたといった感の無い、確固たる信念・思想がその栽培に見られます。その信念を支えているのは、数百年の間培われてきた歴史と伝統、経験であり、それに基づいて行き着いたのが、自然と対話し、それを尊重する栽培方法だったと言います。「自然派」というよりも「古典派」とも言うべき稀有なスタイルなのです。

実際の栽培においては極限まで収穫量を抑えることが大事であるとし、平均収量30hl / haという、この地方の通常の半分という収穫量を実現しています。また、ヴァンダンジュ・ヴェール(摘房)による収量の制限ではなく、よりリスクの高い冬の剪定や春の芽かきによって行うという哲学を実践しています。収穫は手摘みによって行い、非常に厳しい選果を経た上で、醸造されます。

「繊細かつ濃密なカベルネ・フランの気品」

収穫の際にすでに選果されたブドウは全て除梗され、選果台においてさらに厳しい選果を行います。上質の房・果粒のみを用いることによって、青っぽさが微塵も無いカベルネ・フランの良い部分が得られます。発酵は主にステンレス・セメント槽にて行われ、プレスワインを一切加えずにブドウに付着している自然酵母の力によって発酵させます。マセラシオンは30〜40日と長期に及び(にも関わらず青臭さは無い)、果皮と種子から良質でバランスのよい旨み成分を慎重に抽出します。補糖・補酸といった人為的な調整は勿論行わず、新樽およびシャトー・ラトゥール使用の1年樽などで、2年から3年という長期間熟成されます。その熟成に使われるセラーは、圧巻の地下洞窟。完璧な温度と湿度でワインを育ててくれます。

樹齢の高い恵まれた樹から収穫量を抑えたブドウで造るワインは、秀逸で極めて表情が豊かです。既存のカベルネ・フランの概念を打ち砕くようなエレガントさや華やかさを秘めながら、長期の熟成に向いた強固な骨格もあります。クロ・ルジャールのワインは、古典的で優雅なまさに「長期熟成ワイン」で、この「古き良きフランスワイン」を愛するファンが多いのもうなずけます。クロ・ルジャールのもうひとつの魅力は、その絶対的な安定感にあります。いわゆるオフ・ヴィンテージであっても、その品質は揺るぐことなく、2003年といった酷暑のヴィンテージであっても、だれた味わいや高いアルコール感などは皆無です。この他を寄せ付けない安定感と品質の高さは、クロ・ルジャールだけが到達できるひとつの極みと言えるでしょう。