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2016-12-08

マルク ペノ!やっと訪れた質・量ともに満足のいくヴィンテージ!ミネラルがきまった長期熟成も可能な2015年。

Marc Pesnot

ワインの仕事をしていると、ごく稀に「自分でワインを造りたくはならないですか?」とお尋ね頂くことがあります。

その度に「いえいえ、自分が大好きなワインの造り手たちの姿を見ていたら、自分で造ろうとは全く思えないです。」とお答えしています。

彼らの生き様やその結果としてのワインをご紹介する際には、「苦労を厭わない」や「ストイック」といった言葉をすぐ使用してしまい、その言葉を使いたくなる背景を正確にお伝えしきれていないと感じることがあります。

どんな造り手であっても、決して容易な仕事に取り組んでいるわけではなく、胸がしめつけられるような苦しく、悲しい出来事や、途方も無い時間と気力を費やさないと得られない果実があり、それを目の当たりにしたり、伝え聞いたりするだけで、自分には到底成し遂げることはできないなと思わされます。

しかし、ご存知のかたもいらっしゃると思うのですが、実は野村ユニソンでは、フランス ロワール地方で、ワインの生産も手がけているのです。

ワイナリーの名前は、ドメーヌ ド ラ セネシャリエール、醸造・栽培の責任者を務めるのは、この地で何年もの間、苦労を厭わずワイン造りを続けてきたマルク ペノという人物です。

ミュスカデの生産地域に畑を有し、ながらくミュスカデやグロ プランといったワインを造っていたマルク ペノですが、財務上の理由から2007年にドメーヌの継続が不可能となりました。

日本でもファンの多いマルク ペノのワインをこのまま失ってしまうのは、あまりにも残念でならないと考えた当社と現地フランスのパートナー、エノコネクション社は、ペノ氏の所有するワイナリー「ドメーヌ ド ラ セネシャリエール」の経営を引き継ぐことを決め、2008年8月には全ての登録・認可を終了し、正式に再スタートを切ることとなりました。

ドメーヌ ド ラ セネシャリエール

これ以降、従来とかわることなくマルク ペノ氏の手によってワイン造りは続けられ、むしろ栽培と醸造に集中できるようになったペノ氏は、手がけるワインを急速に進化させていきます。

マルク ペノの畑にて

マルク ペノの畑の土

栽培をより自然なアプローチにシフトさせ、この地のブドウ品種の特性をいかしきった醸造方法を磨き上げ、「ミュスカデを超えるミュスカデ」という彼のスタイルをとことんまで純化させていきました。

それに伴い、これまで以上に多くの方の支持を集めるようになり、ワイナリーは順風満帆に見えました。

しかし、自然と対峙しての仕事は、決して容易なものではありませんでした。冒頭にお話したような膨大な苦労や胸がしめつけられるような苦しみというは、やはり逃れようがなく、ここ数年は、特に収量減に悩まされました。

間接的にとはいえ、自分たちが生産者側として、真剣勝負のワイン造りに挑戦し、実際に自分たちで苦悩することになった経験は、他の造り手たちと対話するうえでも有用な大きな気付きを与えてくれました。

一進一退の苦難の日々が続いたドメーヌ ド ラ セネシャリエールですが、2015年には、主要品種であるムロン ド ブルゴーニュが、質・量共に満足のいく収穫が得られ、やっと未来に向けてさらなる挑戦を目指せるスタートラインに戻ってきました。

今回ご案内するワインは、この2015年。

残念ながらグロ プランは、大幅な収量減に見舞われて極少量となってしまいましたが、ムロン ド ブルゴーニュに関しては、非常に満足の行く仕上がりとなり、長期熟成にも耐えうるポテンシャルの高いワインとなりました。

2015年のグロ プランとムロン ド ブルゴーニュの2つの品種に共通する特徴としては、重層的で、硬質なミネラル感の強さです。ワインの芯の部分をしっかりと守るかのようなこのミネラル感の内側には、豊かな果実味と旨味が隠れており、例年以上に焦点の定まった味わいとなっています。

Gros Plant

グロ プランに関しては、桃のような熟した果実の香りがあり、それでいて、美しい酸とミネラルが全体のバランスを引き締めています。当初は余韻のみに感じる豊かな果実味ですが、時間の経過とともに、香りの印象に一致するような全体に旨味が広がっていきます。侮られがちなグロ プランという品種ですが、この2015年が備えるポテンシャルは、今後の成長も大いに期待させるもので、熟成を経てからも非常に楽しみなワインです。

La Desiree

樹齢の高いムロン ド ブルゴーニュから造られるラ デジレは、ほのかに感じる甘いアロマと爽快さのあるハーブのニュアンスやグレープ フルーツや柑橘系の香りを備えており、味わいは、グロ プラン同様にビシッと焦点の定まったミネラル感が特徴です。当然ながら潜在的な果実味の強さは、グロ プランよりもこのラ デジレが上で、ピール系を思わせる風味の中に柔らかさのある旨味が見え隠れします。

どちらのワインも今後長期にわたって楽しめそうな、近年屈指のポテンシャルの高さを備えており、じっくりと腰を据えて楽しんで頂きたいワインたちです。

最後に余談ですが、2015年の豊作に浮かれたのも束の間、今年の2016年は、ミュスカデのエリアも繰り返される雹(ひょう)や長雨などの異常気象の影響が大きく、ドメーヌ ド ラ セネシャリエールでもその収穫のほとんどを失うという、ドメーヌ存亡の危機に見舞われています。

結果として、私たちにとっても、自然と対峙する仕事の過酷さを骨身にしみて感じる苦い年となってしまいました。

ところが、このような過酷な状況に陥っても、「自然の為すことは変えられない、しょうがないね」とまた明日からの仕事に前向きに取り組み続ける多くの造り手たちの精神力に、ただただ圧倒されるばかりです。

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『2016年12月8日現在の在庫状況』
○ グロ プラン NV15 【僅少】
○ ラ デジレ NV15 【潤沢】

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